給与収入の方は税務署で確定申告をする必要はありません。
源泉徴収という形で,会社が,毎月の給与から所得税に相当する額を税務署の代わりに代理徴収しているからです。
会社による所得税の徴収を『源泉徴収』といって,会社が源泉徴収をした証として『源泉徴収票』が発行されます。源泉徴収額には必ず誤差が生じるので,会社がその過不足を12月に給与から差引清算する手続を『年末調整』といいます。
このように,所得税の納付は,給与から源泉徴収された時点で完結しているため,税務署で確定申告をする必要はありません。
(但し,特別な控除を受ける場合は自分で確定申告をすることができますがこれは任意的です。)
会社は全社員から源泉徴収すると,これをまとめて税務署に納付するのですが,仮に会社が納付義務を怠ったとしても,社員が納税を怠ったということにはならないので,会社が源泉徴収したお金を使い込んだとしても,社員が税務署から滞納税を請求されることはありません。
ちなみにこの制度を悪用すると,税金の不正還付が容易にできてしまうのです。
では住民税についてはどうでしょうか。
住民税とは,住民票を置く市区町村から課税される地方税をいいます。
住民税についても,源泉徴収と同じように会社による代理徴収制度があり,これを『特別徴収』といいますが,源泉徴収と違って強制的ではありませんので,会社が特別徴収をしなければならないということではありません。
会社が特別徴収をしない場合は,社員が自分で住民税の申告をする必要がありますが,これを『普通徴収』といいます。
そして住民税の申告の際には,源泉徴収票のコピーを提出することになります。
申告期限である3月に住民税申告を済ますと,5月頃に課税額決定処分がされて,6月頃には課税証明書が取得できるようになります。
保育園の入園手続においては,年間の所得金額によって保育料が算定されるため,課税決定処分を受けている必要があります。課税決定処分を受けるためには,住民税の申告をしていなければなりません。
そして,住民税申告においては,普通徴収の源泉徴収票が必要となりますので,アリバイ会社を利用する際は,在籍確認登録だけでは足りず,源泉徴収も必要となります。
この点,『アリバイ会社の源泉徴収票を使うと税務書から調査を受ける。』などという風説が出回っていますが,そのようなことは有り得ません。そもそも源泉徴収票は税務署に提出するための書類ではありません。
会社が税務署に源泉徴収税額を納付する際においても,各社員のごとの源泉徴収の内訳を提出することもありません。
つまり住民税の申告さえしなければ課税されることはないのです。
ただし,アリバイ会社で発行された源泉徴収票を住民税申告で使用すると,アリバイ会社側に課税上の問題が発生する場合があるため,源泉徴収票を申告に使用することを禁止しているアリバイ会社もあります。
これを無断で申告に利用すると後でトラブルの原因となる場合があるので,事前に申告で使用できるかよく確認をしてから源泉徴収票を購入するようにしてください。