2022年03月21日
賃料の不払い,ペット飼育禁止規定の違反,騒音等近隣住民とのトラブルなどがあった場合に,契約の解除通告を受けて立ち退きを迫られる場合がありますが,黙って応じる必要はありません。
賃貸契約書には,これらの事由があった場合は契約を解除できるという契約条項があります。
しかし賃貸契約の場合は,『信頼関係破壊の法理』が適用されるので,賃料の不払いや,動物を飼っていることがばれてしまった場合でも,その違反によって信頼関係が破壊されたといえないような場合は,たとえ契約違反であっても契約を解除することができないのです。
では代表的な事例を取り上げてみます。
■アリバイ会社を利用していることがばれてしまった場合
アリバイ会社を利用した事実と,信頼関係の破壊がどのように直結するのかという根拠がなければ賃貸契約の解除はできませんが,賃料の延滞がないなど契約を遵守していればアリバイ会社を利用しているというだけの理由で契約の解除はできません。
■賃料の延滞があった場合
一般的には,3カ月以上の延滞があれば信頼関係は破壊されたといえます。
一般の賃貸契約書では『3ヶ月以上延滞した場合は・・』と書いてあるのが通常なので,3カ月以内の延滞は契約解除事由とはされていません。
しかし,3ヶ月以上延滞した場合であっても,契約解除通告を受ける前に滞納分を全部支払ってしまえば大家は解除することはできなくなりますので住み続けることができます。
■ペット飼育禁止に違反した場合
違反の程度や経緯などを総合的に考慮したうえで判断されます。
例えば子犬を飼っていることにより,夜中に吠えるなど近隣住民に迷惑が及んでいないかなど個別事情によって判断するので,ペットを飼っていることがばれたからといって即退去をしなくてはならないというわけではありません。
■近隣迷惑行為
隣近所の住民との間で継続的なトラブルがあったとしても,それは住民同士の問題に過ぎないので,これをもって大家との信頼関係が破壊されるというわけではありません。これについても総合的に判断されます。
このように,不当な契約解除や立ち退きを要求された場合は,『確かに契約に違反してペットを飼っているけど信頼関係が破壊されたとはいえないので契約解除は認めません。』などと主張して大家に対抗することができるのです。
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